LM324使用の新型ヘッドホンアンプ

秋月で一個25円で4個まとめて売ってあるLM324。そのギャグみたいな値段故か、真面目にヘッドホンアンプに使用された例は殆ど無いと思われる。元々そういう用途じゃない、といってもオーディオ用途なら十分な性能を持つわけだし、むしろいつもの二回路入りオペアンプと互換性がないというそれだけの理由で敬遠されているように思う。
あまりに不憫なので、先日試作したヘッドホンアンプを真面目に考察してみる。話の都合上、普通のヘッドホンアンプを並べた後に対象回路を入れるという形式を取る。
  

その1。普通のちゅもい


ぶっちゃけこれだけ。機能面とか発振防止とか、そういう物は取っ払ってある。ピンナンバーはcadの問題で、別に深い意味は無いので気にしない事。
こうしてみるとあまりカッコよくない。それに、オペアンプに大電流を強いる回路なので音質評価に使うのには無理がある。
LM324でこれをやるとC級動作故のクロスオーバー歪みが酷いらしい。プルアップ抵抗で改善する手法があるそうだが、個人的にはアホらしと思う。元々何10mAも流すものでもないのに、無理矢理流させてアイドリングを外から流し込んでどうにか動作させる。アホらしいかどうかは私の主観なので気にしないにしても、ちょっとスマートとは言い難い。音も悪いだろうし()

その2。普通のバッファ


いつも見るたびに「これ作ってるやつの何割がダイヤモンドバッファのメリット理解してるのだろ」と微妙な気持ちにさせてくれるダイヤモンドバッファ。どうして誰もダイオードバイアス+二段ダーリントン、とかで組まないのだろう。ま、私はダイヤモンドバッファの後ろ側のトランジスタをインバーテッドにしたダイヤモンドバッファの方が好みである(そのまま0dbパワーアンプになる)。
別にこれといってデメリットはないが、LM324で組むとなると話は別である。要するに、大げさすぎ(笑)
LM324なんて、なんとなく買って使わないで死蔵してる、そんなICなのである。それにダイヤモンドバッファは、ねぇ。組むの面倒くさいし。
  

ここまでのまとめ。中ボス
  • ちゅもいは根本的に矛盾を抱える
  • ダイヤモンドバッファは組むのが面倒

であるから、例えば初心者が入門するのにはどちらも勧められない。ちゅもいを組んでなんかイマイチと感じさせたり、ダイヤモンドバッファなんて面倒で組めねーよと思わせてしまうのである。
この悩みは、中級、上級ビルダーでも抱えているものである。つーか、実際問題としてこういうのばっかだと飽きる。
  

その3。そこで今回の商品です


トランジスタの上下にはちゃんと電源を繋ぐこと。でないと動作しない。
つまり、オペアンプの電圧増幅段の消費電流は殆ど0Aでなおかつ殆ど一定という近似が成り立つので、等価的にトランジスタオペアンプ内部のバッファとインバーテッドダーリントン接続されていることになり、これにより電流増幅能力がhfe倍になるというそれだけの回路である。
回路はオペアンプ一石とトランジスタ二石、抵抗二本。いたってシンプル。抵抗を取っ払ってボルテージフォロアとしてしまえば、オペアンプ一石とトランジスタ二石でちゃんと鳴る(LM324を使う限り発振対策は特に要らなさそう)、ギャグみたいにシンプルなアンプになる。それでいてchumoyよりよっぽどしっかりしている。
どうもベースから電源を取るという発想は中々無いようで、まあ思いつけて嬉しい。
  
ただし、これには致命的なデメリットがある
お察しの通り、電源から出力取っちゃうので、二回路入りオペアンプ一個でステレオ済ませるとか、そういう芸当が出来ないのである。あーあ。
つまり、一回路入りオペアンプが二個必要、二回路入りを使うのなら一回路潰して二つオペアンプを使う必要がある。えー無駄っぽい。それに、オペアンプは一つ300円くらいするので、ちょっとコスト的にあれ。
・・・あれ、なのだが、思い出して欲しい。今回使う材料はLM324である。これ、25円で4個纏まって売ってるオペアンプである。つまり・・・
致命的なデメリットなはずなのにそれが全く問題にならないっ!!
いやぁ、25円のICが二個になったところで(実装面積は兎に角)特に問題は無いし。むしろ死蔵品処理できて嬉しいし。使わない回路は接地するなり放置するなりして殺せば良いだけだし。つまり、LM324だからこそ出来るアンプだともいえる。今まで誰も思いつかなかった理由も多分それですね。
  
  

ちゃんとしたまとめ

効果効能は上にまとめたので、特に書くこともないのだが、まあ、chumoyはオペアンプに電流流させるのがやだ、ダイヤモンドバッファは面倒くさい。そんな方にはこの回路をお勧めします。
実際に作る際は・・・これだけ書けば設計可能なので、各自の判断で製作してください。